qzの自由帳

多趣味はいいぞ

スタイロフォン作ってみた

あのLet's go memeでおなじみ(?)のスタイロフォンを作ってみました。

スタイロフォンとは

70年頃に発売された電子楽器。広義のアナログシンセサイザ。
鍵盤状の金属板をスタイラス(タッチペン)で触れることで音が鳴る楽器です。

一般的なシンセサイザは、

  • オシレータ(VCO) : 音の元となる波形を生み出す部分。
  • フィルタ(VCF) : 音色を調節する部分。波形の周波数成分を加工する。
  • アンプ(VCA) : 波形を増幅し出力する部分。
  • モジュレーション(LFO) : 音に何かしらの変調を加える部分。ビブラート、ワウワウ、トレモロなど。
  • エンベロープ(ENV) : 波形の時間的な変化を扱う部分。

の5つの要素で構成されており、スタイロフォンも同じです[画像引用元]。

構成

今回作ったスタイロフォンは、

  • VCO : NE555による矩形波生成
  • VCF : RCローパスフィルタ+RCハイパスフィルタ。組み合わせによりバンドパスフィルタも可能。
  • VCA : LM386による増幅
  • LFO : 移相型発振回路によるビブラート
  • ENV : なし

といった構成をしています。

回路

海外の方の自作スタイロフォンの記事や、自作シンセ・アンプの記事から参考にした回路を組み合わせ、自分なりに改良して作成しました。

電源

持ち運べる&入手のしやすさから単三電池を使うことにしました。
タイマーICへの入力電圧が降下すると音程が変化してしまうため、DCDCコンバータにより常に5V入力となるように昇圧させています。

VCO

NE555L-D08-Tのデータシートの" TYPICAL APPLICATION CIRCUIT"より、欲しい周波数を持つ波形が生成できるような抵抗とコンデンサを決定しました。
6ピンと7ピンの間の抵抗値を鍵盤ごとに変えることで、音階を作っています。
設計上はC3~B5までの音域が出るようになっています。

VCF

一次RCローパスフィルタとハイパスフィルタの組み合わせです。
カットオフ周波数調整用の可変抵抗がついています。

VCA

LM386G-D08-Tのデータシートから、アンプ部分を設計しました。
ゲインと音量調整用の可変抵抗がついています。

ここで私は重大なミスをしています。
音量調整用の可変抵抗ですが、増幅前ではなく増幅後に取り付けています。 インピーダンスのことを何も考慮できていません。

LFO

この記事で採用されていた移相型発振回路を少し改良し、ビブラートのピッチが変更できるように可変抵抗を取り付けました。

キーボード部分

NE555の6ピンと7ピンへとつながる部分です。鍵盤それぞれに可変抵抗がついてます。
この記事では、全ての抵抗が直列でつながっているせいで、どこか一つの音程が狂うとそれ以降の音程がすべて狂ってしまう仕様でした。 今回は、鍵盤それぞれの抵抗を並列に繋いで、可変抵抗によりそれぞれの音程を調律する仕様としました。

基板

できるだけ小型にしたかったこともあり、かなり窮屈な配置をしています。
基板はJLCPCBで発注しました。初回クーポンを使って、5枚で約¥2,500でした。 1週間ほどで届いた記憶があります。

ハードウェア

販売されているスタイロフォンを参考にしてデザインを決めていきました。3Dプリンター製。
いくつかこだわりポイントがあります。

  • UIの配置

    • つまみやスイッチ同士の間隔が窮屈にならないように
    • 片手で持つ場所の確保
  • 電池カバー
    試行錯誤の上、パチっとはまる形状を印刷できました。
    当初はスナップフィットの予定でしたが、時間の都合上断念。

  • スタイラスの作り方
    持ち手部分にナットと配線を挟んで接着→ペン先をM2ボルトで固定。
    M2ボルトが固定と導通部分を兼ねているのがポイント

  • スタイラスの収納
    4つの爪にパチンとはめる形で収納。
    ペンを端までスライドすると、ペン先のテーパ部分の位置に爪が来るため、先端から持ち上げて取り出せるようになっています。

完成

学祭展示ギリギリになんとか完成しました。
当日は販売も行い、まさかの在庫4つ全てが完売しました!嬉しい誤算でした。

反省・感想

  • 反省点
    • 音量調整用可変抵抗の位置
    • 制作に時間をかけすぎて卒研がおろそかになっちゃった

人生で初めての基板発注&楽器制作でしたが、なんとか成功してとても嬉しいです。
質問や意見があれば是非是非。
次回も音楽関連で何かしら作ろうと考えています。

*もし要望があればstlモデルや基板のgerberデータを公開するかもしれません。

部品表

全ての部品を秋月電子で購入しました。 詳しくは↓ docs.google.com

参考サイト